脳の病気は突然発症し、手足の麻痺や言葉の障害を残して人生を大きく変えてしまう事があり、症状が出てからでは手遅れのものもあります。
危険因子を正しく把握して予防する事が重要ですが、症状がない方の検査は健康保険で認められていない為、心配な方には脳ドックをお勧めします。当院の脳ドックでは開頭手術や血管内治療の実情を知る脳神経外科医が直接画像診断と説明を行います。脳動脈瘤や脳腫瘍などがみつかった場合にも、受診のお勧めに留まらず、治療の必要性とリスクを踏まえた御提案を致します。
※心臓ペースペーカー、埋込型除細動器、人工内耳が埋め込まれている方は脳ドックをご利用頂けません。又、検査直前の確認で問題があった場合、脳ドックをご利用頂けない事があります。脳動脈瘤クリップや神経刺激装置を使用されている方は、脳ドックの対象ではありません。
画像診断だけでは脳卒中予防の意義は乏しいため、市民健康診断や職場の健康診断、人間ドックなどを受けておられる方は結果をご持参下さい。二重に同じ検査を行う事なく、脳卒中リスクを評価し、説明させて頂きます。
市民健康診断や職場健診を受けておられない方には以下をお勧めします。
脳ドックでは以下の様な異常をみつける事で、脳の病気を発症前に早期発見し、からだや言葉の自由が奪われる事を予防します。
脳の血管には「脳動脈瘤」というふくらみができる事があります。
血管の壁の弱い所が圧力に負けてふくらみ、破裂する事があります。破裂すると「くも膜下出血」を発症し、3人に1人は死亡すると言われ、助かっても手足の麻痺や言語障害など後遺症を残す事があります。
脳動脈瘤は破裂するまでは症状が無い為、破裂して初めて発覚します。そして日本人とフィンランド人に多い病気である事が知られています。
くも膜下出血を予防する為には、脳動脈瘤の有無を確認する必要があります。
脳の血管が複雑に絡み合った毛糸玉の様な塊をつくる奇形です。
頭痛やけいれんを起こして診断される事もありますが、破裂して脳に出血を起こすまで、何も症状も出さない事もあります。破裂する前に診断できれば、脳出血による後遺症を避ける事ができます。
脳血管の内、「内頸動脈」の尖端がゆっくりと狭くなって閉塞し、かわりに脳の中をつらぬく「モヤモヤ血管」という異常血管が発生する病気です。画像検査では正常な脳血管と異なり、細く蛇行してモヤモヤして見えます。モヤモヤ血管は細く脆弱で、脳梗塞や脳出血の原因となりますが、それまでは症状を出さず、発症まで気付かない事があります。
脳梗塞は脳血管の一部が閉塞し、脳に栄養が届かなくなって壊死するものです。しかし壊死した部分によっては必ずしも手足の麻痺や言語障害が出るとは限らず、脳ドックで偶然みつかる事があります。かくれ脳梗塞はその後の脳梗塞の発症を予見する徴候であり、治療の開始をお勧めします。
頭部MRIを行うと数mmのごく小さい脳内の出血がみつかる事があります。
これは部位により脳血管障害や認知症の発症と関連している事が知られており、こういった疾患の発症予防のための治療をお勧めさせて頂きます。
大脳の深い所にある「白質」という部分は神経細胞どうしが連絡をとりあう「ケーブルの束」に該当します。脳MRI検査でここに白い「シミ」の様なものがみられる事があります。これ自体は症状を呈する事は無いのですが、脳梗塞や認知症の発症と関連があるとされ、高血圧症が関与していると言われています。確認された場合にはより厳格な血圧の管理を行う様にお勧めします。
脳を含む頭蓋骨の中には良性から悪性まで、非常に多く種類の腫瘍が発生します。脳腫瘍の発生頻度は人口1万人の町で毎年1人が発症する程度であり、肺癌・胃癌・大腸癌・乳癌など他の臓器の癌と比べると決して多くはありません。しかし、脳の内部や重要な神経の周辺で発生する為、大きくなると手術が難しくなったり、術後に手足の麻痺や言語障害などの合併症が残りやすくなります。このため早期に発見するに越したことはありません。
そして肺癌の検診ではCTによる放射線被曝が必要であったり、胃癌や大腸癌では内視鏡検査によるリスクと苦痛がある事と比べれば、脳は無害なMRI検査で観察する事ができる為、格段に検査による弊害が少ないと言えます。
この他にも様々な脳・脳血管の異常が脳ドックでみつかる事があります。
放置して良いのか、普段気を付ける事はあるのか、定期的にMRIで追跡した方が良いのか、お薬や手術による治療を検討した方が良いのか、詳細にご説明させていただいた上で御希望に応じたご提案をさせて頂きます。
当院は新潟市特定健診の委託医療機関に登録しております。お近くの方は是非ご利用下さい。又、入学や資格試験に伴う健康診断につきましても承っております。必要な検査内容によっては対応が難しい事もありますので詳細は当院までお問い合わせ下さい。