お子さんの頭部打撲
お子さんの頭の中は発達した脳で充満しています。大人の様に隙間はありません。脳のわずかな出血や腫れでも症状が出やすいと言えます。そしてお子さんの場合、脳に影響が出る様な打撲が生じた場合、脳の部分的な損傷よりも脳全体の腫れや機能障害を起こしやすい傾向があります。このため、大人と比べると圧倒的に症状が出やすいと言えます。
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頭部は中に脳が入っている為、体の他の部位と比べると打撲した際、心配になりやすい部分であると言えます。脳に異常を来している可能性があるか、そのまま様子をみても大丈夫か、受傷時の状況と診察時のご様子により判断させて頂きます。この判断は年齢により大きく異なります。
お子さんの頭の中は発達した脳で充満しています。大人の様に隙間はありません。脳のわずかな出血や腫れでも症状が出やすいと言えます。そしてお子さんの場合、脳に影響が出る様な打撲が生じた場合、脳の部分的な損傷よりも脳全体の腫れや機能障害を起こしやすい傾向があります。このため、大人と比べると圧倒的に症状が出やすいと言えます。
頭蓋骨の骨折や脳挫傷などの異常を確認する為には頭部CT検査が有効ですが、小さいお子さんでは頭部CTにより将来の発癌のリスクが高まる可能性があると言われており、慎重に適応を判断する必要があります。そして無限の可能性を持つ成長期のお子さんの脳に対して、たとえわずかでも放射線の影響は無い方が良いとも言え、本当に頭部CTの必要があるかどうかを、より慎重に判断する必要があります。そして頭部CTで脳の外傷が無かった場合でも、遅れて症状がでる事も僅かながらある事から、まる1日程度は結局、経過観察が必要である事は変わりが無い(=CTで大丈夫でも直ちに安心という訳にはいかない)のも事実です。
放射線被曝は避けたいけれど、脳の状態を観察する必要がある場合には、MRI検査を行います。CTとの違いは、じっとしていなければならない時間が長い(10分前後)事、トンネルが深いために小さいお子さんや、狭い所が苦手なお子さんが怖がってしまう事などが挙げられます。かといって頭部打撲後は経過観察が必要なため、眠り薬を使ってまでMRI検査を行う事はありません。
乳幼児期の小さいお子さんの場合、ご自身で症状を訴える事が難しい事から、24時間程度は経過をみていただき、以下の様な症状がみられた際には時間帯に応じて利用可能な医療機関の受診を検討して下さい。
ご自分で症状を伝えられる年齢のお子さんにおいては、上記に加え、以下の様な症状にもご留意下さい。
お子さんと異なり、脳損傷がただちに症状に出やすい状況とは言えません。
特にご高齢の方においては僅かな脳損傷や出血があっても症状が判りにくい傾向にあります。又、残りの人生に対する放射線の影響も子供さんほど高いとは言えず、症状に応じて比較的CT検査をお勧めしやすいと言えます。
ご高齢の方においては直後のCT・MRIで問題が無くても、ゆっくりと脳の表面に血液が溜まってくる事があります。この疾患を「慢性硬膜下血腫」と言い、溜まった血液は血腫と呼ばれ、少ない間は特に症状がありませんが、1~3ヶ月かけてゆっくりと増量して脳を圧迫する事で以下の様な症状を来します。
放置すると生命にかかわる程増大する事もありますので、頭部の打撲から時間が経っていても上記の症状がみられましたらすぐに受診を検討して下さい。
頭部や顔面の傷(創:きず)については必要に応じて縫合や創部の保護を行っています。創の縫合処置に際しては、処置に伴う痛みをできるだけ少なくする事や、創をしっかり合わせ、縫合後の痛みや出血がなるべく無い様、また翌日から入浴・洗髪ができる様に心がけています。また、創が治った後、なるべく早く元の外見に戻れる様、髪の毛や眉毛を切らずに処置を行い、部位に応じて治癒後に瘢痕が残りにくい様、テープ保護をお勧めしています。
小さなお子さんの小さな傷の場合、処置そのものによる痛みより、精神的な恐怖感の方が大きい事が多く、無麻酔で縫合用のホチキスにより一瞬で処置を終わらせた方がかえって痛みがすくない事があります。
傷の処置に関しては頭部と顔面に限らず、手足や体幹のものも同様に当院で処置を行っていますのでお気軽にご相談下さい。
※以下の様な外傷は当院では対応できず、該当診療科を紹介させて頂きます。
スポーツにはボクシング、ラグビー、柔道などの様に頭部に強い外力が加わる事が前提とされるもの以外でも、あらゆるスポーツでプレー中の衝突・転倒により頭部を打撲したり、間接的に頭部に強い外力が加わる事があります。脳が強い衝撃を受けて一時的に機能障害を起こす事を「脳震盪」といいます。直後に意識を失ったり、落ち着き無く何度も同じ話をしたり、打撲前後の事を覚えていなかったり、ふらつき、頭痛、手足の脱力やしびれ、眼が見えにくい等が続く事があります。こうした場合、子供さんであっても症状に応じてCTやMRIによる画像検査が行われますが、異常がみられなかった場合、いつから競技に復帰するかという事について検討が必要になります。
脳震盪から完全に回復していない選手においては2回目の衝撃でより容易に脳震盪に陥りやすい事、「セカンド・インパクト症候群」と呼ばれる急激で命にかかわる脳の腫れが起こるのでは無いか、という説もある事から脳震盪を起こした選手の競技復帰にはより慎重に対応する風潮があり、各競技団体によってルールが決められているのが実情です。
脳震盪は頭を打撲した後の一時的な現象と思われ、軽んじられる事があります。だいぶ昔のドラマ「スクールウォーズ」で脳震盪を起こした選手にヤカンで水をかけて覚醒を促すシーンがありましたし、K-1の試合では何度もノックアウト(=脳震盪)されては立ち上がり、フラフラになりながらトドメをさされる場面がよくみられました。そんな対応で良しとされていた昔の時代の話です。
そんな脳震盪ですが、何度も繰り返す事でだいぶ時間が経ってから慢性外傷性脳症と呼ばれる人格変化と平衡感覚障害を伴う認知症を発症する事があります。昭和の名作マンガ「あしたのジョー」で「パンチドランカー」が世に知られる様になり、実際に罹患した実在の人物としては元プロボクサーでコメディアンの「タコ八郎」さんがとても有名です。